銀山温泉 ― 大正ロマンの木造旅館とガス灯の温泉街
山形県尾花沢市の山あいにある銀山温泉を取材した。銀山川の両岸に三〜四層の木造旅館が向かい合って建ち並び、川沿いの道は車を排した歩行者中心の構成になっている。
この温泉地はかつての延沢銀山の採掘で栄えた集落が起源で、鉱山閉山後に温泉地として再生した経緯を持つ。現存する旅館の多くは大正末期から昭和初期の建築で、こて絵装飾を施した外観が往時の意匠を伝えていた。
日が落ちるとガス灯が一斉に灯り、木造建築のシルエットを川面に映す。観光客はこの時間帯に最も集まるとのことだった。建築・地形・産業史が一体となって景観を形づくっている点で、強く印象に残る取材となった。